きものの美しい立居振舞
1. 美しく歩く
歩くときは、背筋をすっとまっすぐに伸ばして、裾が乱れないように軽く「立て妻」の部分をおさえると優雅。歩幅はやや小さめに、つま先をまっすぐに出すようにします。
細かくチェックするとむずかしそうに聞こえますが、着物を着付けたら自然に歩幅は小さくなってしとやかに歩けます。出かける前に草履で足慣らしをしておくと自信がつきます。
2.階段の上り下り
階段を上るときには、必ず右手で上前の端を持ち上げ、裾を踏まないようにします。下りるときには、上前を軽く押さえてつま先からまっすぐに足を伸ばして下りましょう。上るときも下りるときも、体をやや斜めにするとスムーズです。また振袖を着ているときには、両方の袖口の下のほうを、まとめて左手で持ち上げるようにします。これは袖を汚さないためと、袖先を踏みつけて転ばないため。
3.車の乗り降り
腰から先に乗り、振袖の場合は両袖を必ず持つようにします。腰をおろす時には膝の裏側に手を入れて後ろの裾を踏まないように気を付けます。腰をおろしたら、上前を抑えたままで両足をそろえて回転するように車内へ。帯がつぶれないようにシートに浅く腰かけます。車中では斜め横向きになって、前の席に手を置いて身体を支えていると安定しまし苦しくありません。降りるときは、袖に注意して両足を揃え、上前を押さえて車外へ。
4.きれいに座る
振袖の場合は、袂(たもと)を前で重ねて上前と共に軽く右手で押さえるか、袂を引きずらないようにまとめて上前を押さえるかします。次に大切なことは、腰を掛けるときに左手を膝の裏に入れて後ろの裾を踏んだり汚したりしないように気を付けて座るようにすること。帯の形が崩れないように浅めに腰掛けて、振袖の袂は膝の上に重ねておくようにします。これで両足を揃えて、軽く引き気味にすればパーフェクト。
5.上品に物をとる
着物を着た時には、何をするにも「手を揃える」 という事を心がけて。包み隠しているのが着物の美しさなので、袖口から腕が見えるのは優雅ではありません。テーブルの上のカップやシュガーをとるときは、軽く手を添えるようにします。また、うっかり落とした物をかがんで拾わなくてはならないときには、袂が床にすれて汚れないように、左手と袖と上前を持ってかがむようにします。片手で何かをしようとするとき、すっともう一方の手を添える。これが優雅な仕草のポイントです。
6.トイレ・洗面所で・・・
トイレに行くときにもあわてないで、着物の上前、下前、長襦袢 の上前、下前、裾除けの・・・と順序良く上に持ち上げていけば OK。この時、まず袂を帯締めの下に挟んでおけば邪魔になりません し、他を洗うときにも袖を濡らすことがありません洗面の鏡の前では、襟元が乱れていないか、 挟んでいた袂を外した時に、帯締めがゆがんでいないかなどをチェック。 くるりと後ろを向いて裾を持ち上げた時に、帯の形が崩れていないか なども見て、直しておくようにします。